『劇場(又吉直樹)』の登場人物・団体紹介(ネタバレあり)

 

劇場

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ども。今回は『劇場』の登場人物・団体について紹介してみます。

 

 

 

永田

 

主人公。20代。大阪出身で、高校卒業後に上京し、劇団「おろか」を野原と立ち上げる。演劇の脚本作りを中学の頃からし始める。人見知りで甘えたがり、嫉妬しい。

 

ある日原宿を歩いている時に沙希と出会い、永田からのアプローチで付き合うことになる。沙希の優しさに甘え、自分の住んでいたボロアパートを引き払い、沙希のアパートに転がり込みヒモになる(この時沙希はまだ大学生)。

 

永田のダメな所エピソード

 

家賃と食料が親から仕送りされてくる沙希だが、ある時永田に、「お母さんが知らない男に仕送りが食べられてるのは嫌だって言ってた」と言ってしまう。

 

沙希のその発言を永田はストレートに批判。

 

「なんで、そんなこと言うん?」(69ページ)

「…わざわざ、そんなこと言わんでええやん。性格悪くない?」(70ページ)

 

 お前何様やねん。あ、これ僕の感想。生活環境全て沙希に依存しときながら、よく言えるな。てかありえん。

 

永田のキラリ光る所エピソード

 

自分の追求する劇への情熱は熱い。客があんまり来なくても、酷評されようとも自分の考えは曲げない。やりたい脚本・演出をやる。そのせいで劇団員からは、「意見してもどうせ聞き入れてくれない」と嫌われている。

 

劇団員の青山が脱退して、小説を書いたとき、永田は( 本人は特に望んでないのに) 一方的にエールを送る。

 

「…創作ってもっと自分に近いもんちゃうんか。人のことなんてほんまは考えてられへんやろ? 人のこと考えてる自分のことを考えんねん。人のこと考えてるふりができてるってことはもっとやれるよ。…」

「…お前も転び方気にして子守唄みたいなん作ってんと思いっきりやってみろ。がんばれ青山!」(162ページ)

 

 

いいやん。これ缶ヶ江メグルの感想。ここを生かすためにも、永田には人と協調する姿勢を身につけてほしい。何を偉そうにいってんだか僕は。

 

沙希

 

青森から女優を目指して上京してきた。永田より2つ年下。親の助言で上京の名目は実家の洋裁店を手伝うための勉強で、服飾の大学に通っている。中学の頃から演劇部で演劇をやっている。

 

優しすぎる。笑顔が多い。「上唇がツンとめくれあがっている」という描写がある。永田は初対面の時そこに惹かれたようだ。僕はよくわからない。

 

居酒屋でバイトしていて、そこの店長とか、客としてよく来る青山からは、永田とは別れた方がいいとよく相談に乗ってもらう。多分向こうが心配して一方的に。周りは、永田という変な男にしつこくつきまとわれている、という認識。僕も間違いないと思う。

 

挙げたらキリがないけど沙希の優しすぎるエピソード1つ

 

一度、ヒモの永田に、せめて光熱費だけでも払ってとお願いするときがある。しかし永田は、

 

人の家の光熱費を払う理由がよくわからないという苦しい言い訳で逃れた。…

「たしかに人の家の光熱費払う人いないよね。うけるー」

そう笑っていたが、当然ながら沙希が納得しているとは思えなかった。(100ページ)

 

 

沙希ちゃん、早くその男と別れてしまえ。僕もあなたの味方だ。お人好し過ぎるよ。僕も人のこと言えないけど。

 

野原

 

大阪出身。永田とは中学からの付き合い。当時お互い帰宅部で、休み時間などによく話すようになり、仲良くなる。永田が自作の戯曲のようなものをノートに書いてきて、野原に見せ、野原が感想を言う。そのスタイルで2人は演劇の世界にはまってゆく。

 

劇団「おろか」の舞台設備や配役探し担当。永田を実務面でサポートする。永田の相談によく乗ってあげる。

 

永田が初めて沙希をデートに誘う時、どうやって誘ったらいい? と相談してきて、野原はこう答えた。

 

「…家具を見にいきたいからついて来て、って言うたらええねん」

…家具を一緒に見にいくという提案の真意について聞くと、あっさりと雑誌に出ていたと言った。お互いの趣味も知れて、将来の話もできて、相手の経済感覚もわかると書いていて納得したらしい。

「その雑誌、信用できるんか? 締め切り迫ってた男前のライターが適当に書いただけかも知らんやんけ」

「考え過ぎや。俺が次使おうと思ってたやつやで。つけようと思ってた子供の名前を友達にあげたみたいなもんやで」

「ほんなら、いつか子供生まれたら、お互い同じ名前付けような」

「なんで、そんなことせなあかんねん」と野原は笑う。       (41、42ページ)

 

 

仲いいな、野原と永田。見ていて(読んでいて) 和む。

 

野原は永田に巻き込まれる形で演劇の世界に入ったが、本人なりにやりがいをどこかに感じている風な印象を受ける。彼の生活や周囲の人間関係の描写はほとんどないので、深くはよくわからない。ウサギは飼ってるらしい。

 

劇団「おろか」

 

永田と野原によって作られた。結成して3年くらいになるらしい。でも演劇で食べてゆけるほどの人気は無く、むしろ公演をする度に会場代等でお金が減っていくばかり。そんなギリギリの状況。

 

団員は5人。永田、野原、青山、戸田、辻。

 

『カギ穴』という公演を大失敗に終わらせてしまい、青山、戸田、辻の3人から辞めたいと言われ、もめる。結局3人は辞めてしまう。それからは、沙希を加えたり、よそから助っ人を呼んだりして公演を続ける。

 

※『カギ穴』は、観客から普段使っているカギを役者に渡してもらい、渡された役者はそのカギにまつわる物語を即興で語り出す、という設定の演劇。

 

青山

 

「おろか」の劇団員。劇団の紅一点。作中に出て来る主な登場人物の中で、一番まともな人だと思う。常識があって、悪く言えば平凡。野原がバイトしてた居酒屋の客だった(野原もまともだと思う)。戸田といつの間にか付き合っていた。

 

しかし「おろか」を辞めてからは戸田とも別れ、演劇と並行して執筆業を始める。執筆の仕事の数が増え、一人でさばききれなくなった時に永田に連絡を取り、手伝ってもらえないかと相談した。

 

こういうことできるの、大人だなと思う。永田なら絶対やらない。

 

で、青山は小説を出す。『腫れも、毛も、穢れて』というタイトルで、「青山コオロギ」という名で。その小説について永田からダメ出しと励ましをもらった時、ポロッと本音を漏らす。

 

「なんでもかんでも、情熱で片づけようとすんな。日常が残酷だから小説を読んでる時間くらいは読者に嫌なことを忘れてもらいたかったんだ」(162ページ)

 

青山さんキラリーン☆ よしもとばななみたいだ。小説書く人は尊敬する。僕は物語があって、長く書くのはまだ1度も達成したことがない。

 

戸田

 

「おろか」劇団員。金髪、長身で、ムードメーカー的存在。『カギ穴』公演後、劇団を辞め、その後は描写されていない。

 

『カギ穴』の稽古中には、

 

1つの鍵で偶然開いてしまう三軒の家について淀みなく話した。カギとしては欠陥かもしれないが、その家ごとの違いと緩やかな共通点に僕たちはおののいた。(30ページ)

 

これ、戸田の見せ場。即興でそんな話思いつくのすごいな。本番でも同じようにうまくいったらよかったのになあ。

 

 

「おろか」劇団員。坊主刈りで、細身。声に特徴があり、高い声らしい。僕は安田大サーカスのクロちゃんを思い出した。クロちゃんは細身じゃないけど。辻も、戸田と同様、劇団を辞めてからの描写がない。

 

彼の見せ場は、『カギ穴』公演後の居酒屋での話し合いでもめて、解散した後、暗い夜道を一人歩いて帰る永田に不意打ちした所。自転車でぶつかり、傘で何度も殴って、走り去った。

 

いけないことだけど、なんか僕スカッとした。

 

小峰

 

劇団「まだ死んでないよ」の脚本・演出を手掛ける。「まだ死んでないよ」は「おろか」と違い、メディアでたくさん取り上げられている話題の劇団。天才とか言われてる。永田と同い年。それを知った永田は、

 

…不純物が一切混ざっていない純粋な嫉妬というものを感じた。彼を認めるということは、彼を賞賛する誰かを認めることであって、その誰かとは、僕が懸命にその存在を否定してきた連中でもあった。(113ページ)

 

徹底してるな(笑) でも野原に誘われて「まだ死んでないよ」の公演を観た時は、

 

…だが僕は感動して泣いた。これはなんだろう。ただの才能というものではないか。次元が違った。僕が批判的に捉えていた要素などは、本人達にとってはどうでもいいということが公演を観てわかった。そもそもの力が強いから、理屈やスタイルで武装化する必要がないのだ。(112ページ)

 

認めたようなことを言っている。あるよね、次元が違う体験。僕も歯科技工士学校で隣の席の人の歯の彫刻がすごくリアルで、でも模型の忠実な再現というよりはその人のオリジナル式に落とし込まれた形をしていて、いつもすごいなと思っていた。

 

おわりに

 

はい、以上です! この中でも主に作中に最後まで出てくるのは永田、沙希、野原、青山の4人です。

 

登場人物少ないのは嬉しい。僕名前覚えるの苦手なんだ。たくさんいると、「あれっこの人どこで出てきた人だっけ」と前のページに戻って確認しなければならなくなる。でもめんどくさくてわからないまま読み進める時もある。

 

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  ちょっと安く買えるかな。届くまで待たないかんけど。

 

最後まで読んで頂きありがとうございます!ではまた!